ユダヤ・キリスト・イスラム集中講座

 井沢元彦氏 世界の宗教と戦争講座の続編。
 ユダヤ教キリスト教イスラム教の代表者が各宗教について語ります。
 特筆なのは、ユダヤ教のRabbi Marvin Tokayer氏のイスラエルに対する想い。宗教オンチな自分は、「元は同じ神なんだから仲良くやれば良いじゃん」と思いますが、氏の

 もし誰かが「日本は存続する権利はない」と言ったら、どう反応しますか。もし日本は存続する権利がないとなれば、日本人はもはや「日本教」も持てないし、「神道」も持てず、世界への影響力もなくなる。日本という祖国を持てないとなれば、世界のあちこちに、ただ縮こまって生きなければならない。
 ユダヤ人にも、固有の文化、宗教、ユーモア、人間性があります。他のすべての民族と同様、ユダヤ人にも、自分の祖国と歴史を持つ権利があります。
 ・・・中略
 自分の祖国に住みたいと言うとき、それは他の人々が決めることではありません。

 という発言は、占領された経験の無い日本人に(アイヌ琉球王国の問題等は目をつぶって下さい)、「祖国があること、そしてそれがアイデンティティーになっていて、帰る場所があることがどれだけ幸せなことか。」という「きづき」を与えてくれるでしょう。
 また、イスラム教代表のH.E.Dr.Musa Mohammed Omar SAEED氏は本書でこう述べています。

 自分の持っている宗教、自分の持っている文化をもっと理解するためには、異文化を理解しなければならない。異文化を理解すれば、自分をもっと理解できる。

と。
 もし、世界の平和を願うのであれば、我々はもっと社会について勉強しなければならない。日本が、国際社会で貢献するべきは多額のODAではなく、「和をもって尊しとする」日本人のメンタリティーを世界に発信することじゃないでしょうか?
 読み易い本ですが、内容は非常に濃いと思います。